前回は「脱力の大事 前編」として、無意識に力が入ってしまっている方が多くおられ、それは睡眠中にも及んでおり疲労の原因にもなっているお話をさせていただきました。
今回は「脱力の大事 後編」としまして、力みが身体に与える悪影響と、普段に実践しやすい脱力法についてお伝えさせていただきます。
●チカラを入れるとチがカラになる
脱力できていないということは、自らの意思で力を入れてしまっているということだと前編の中で解説させていただきました。
そして、力が入っている状態というのは筋肉が収縮したままの状態にあるということです。
筋肉が収縮したままになると筋肉の間を通っている血管を締めつけている状態になり血流が悪くなってしまいます。
血流が悪くなると、血液が栄養や酸素を運んでいますので、痛み痺れ以外にも部位によっては様々な疾病を引き起こす原因となってしまいます。
原因は不明の痛み痺れ、内臓疾患、うつ病等の他に心身の疲れをいつも感じている方は、チカラを入れたままでいることでチがカラになっているかもせれません。
●呼吸できていますか?
力が入っていると呼吸もし難くなります。
なぜなら、呼吸をするために肺以外に、呼吸筋と呼ばれるいくつかの筋肉が存在しているからです。
それは、1部位だけではなく、頸部、肩部、胸部、背部、腹部、腰部と幅広く存在しています。
肺自体は自動で動くことはできませんので、これらの呼吸筋の力を借りて動くことになります。
特に横隔膜は、息を吸う時(腹式呼吸時)に主役級の仕事をしてくれています。
これらのことからお分かりいただけるように、筋肉に力が入っているということは呼吸筋にも力が入ることになり、呼吸がし難い状態になってしまうのです。
普段は無意識に呼吸をしているのですから、呼吸筋に力が入っていること、それによって呼吸が苦しいことにも気付かず生活されている方が多くいらっしゃると思います。
また、呼吸が浅いことで身体にとって様々な問題を引き起こされておられる方も多いのではないかと考えられます。
●心と体の緊張は関連している
筋肉に力が入っているという状態は、体だけではなく心も緊張状態にあります。
不安や心配事、日々の生活の中で辛い思いをされておられる方は、自然と自分を防御するように力が入ってしまいます。
心身の緊張が高まって交感神経が優位になると、筋肉・血管が収縮し動悸・息切れなどが起こり身体にとって負担のかかる状態となります。
簡単に言えば交感神経は気合が入っている状態なので、交感神経が優位なままでいるということは、リラックスするべき時にリラックスができない状態になってしまうわけです。
●初歩的な脱力法
いちばん初めに取り組むべき脱力法は深呼吸になります。
鼻で吸って、鼻か口で吐く呼吸ですが、これに加えてお腹の動き(腹式呼吸)も加えることでより良い深呼吸ができるようになります。
それではやってみましょう!
まず、体の中にある酸素をできるだけ空になるまで鼻か口でゆっくりと吐き出します。その時お腹を凹ませるように行います。
息を吐ききったら、次に新鮮な酸素を鼻からゆっくり(約5秒)満タンになるまで吸います。この時お腹を膨らませながら吸います。
また次に、満タンになっている酸素をゆっくり(約10~15秒)吐ききります。この時お腹は凹ませます。
この繰り返しが一連の深呼吸(腹式呼吸)となりますが、ご注意いただきたいのがリラックスしてやってほしいということです。
頑張って呼吸をしようとすると力が入ってしまいますので、肩の力を抜いた状態(肩を持ち上げない)で行います。
特に息を吐く時に完全脱力が必要となりますが、身体が溶けて垂れ下がって行くようなイメージで僕自身は普段行っています。
この時、お腹を凹ませるとお伝えしましたが、頑張って腹筋に力を入れ過ぎて呼吸の邪魔をしないように行ってください。
今回も長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は「脱力の大事 スポーツ編」として、普段の生活に於いてもそうですが、身体を動かす中で脱力がとても重要となることと、今回お伝えできなかった脱力法も併せてお伝えさせていただきますのでよろしくお願い致します。
各務原活法整体センター
後藤周士